さらにみなさん、ここ最近下記のような質問をよく受けるので改めて書きたいと思います。

その内容とは、住宅内の壁や天井に塗る壁材として、「珪藻土」と「漆喰(しっくい)」は結局どっちがいいの?というものです。

見た目はさほど違いはわからないと思いますが、もちろん素材が異なるため、機能的な側面はかなり違います。しかも健康面と長持ちの部分では大きな違いがあります。

本日は、このあたりをお話したいと思います。最後までお付き合いください。

 

【目次】

1)珪藻土とは

 (1)珪藻土とは、

 (2)珪藻土のでき方

 (3)珪藻土の産地

 (4)珪藻土の歴史

 (5)珪藻土の特徴・効果

  ①消臭効果:

  ②調湿効果:

  ③省不燃:

 (6)珪藻土の使われ方

  ①七輪(しちりん)

  ②濾過助材

  ③壁材(建材)

 

2)漆喰(しっくい:stucco)

(1)漆喰とは

(2)漆喰のでき方

(3)漆喰の産地

(4)漆喰の歴史

(5)漆喰の効果・特徴

①調質性能 結露を抑制! 

②吸着性能 化学物質を吸着分解! 

③抗菌性能 カビ・ダニを抑制! 

④耐火性能 火に強い! 

⑤省エネ性能 電力を16%削減! 

⑥省エネ性能 電力を16%削減 

⑦安全性能 高い安全性! 

⑧メンテナンス性能 お手入れ簡単! 

⑨ウィルス不活性能 エンベロープウィルスを不活化

(6)漆喰の使われ方

3)珪藻土と漆喰の違い

4)まとめ

 

 

 

1)珪藻土

(1)珪藻土とは、

「珪藻土」とは、珪藻という世界中の海や川に最も大量に生息している植物プランクトンが死滅し(珪藻殻)、その死骸が海や湖の底に堆積して化石化した土のことです。

(2)珪藻土のでき方

珪藻土は、湖や沼や海底といった、流れのゆるやかな場所であることが発生条件となります。水の流れの緩い場所では珪藻が大量発生し、その大量発生した珪藻自身で太陽光が遮られ、珪藻への光が届かなくなり、次第に養分も枯渇して珪藻は死んでしまいます。死滅した珪藻は海底に沈み、殻以外の部分は水中にいる微生物によって分解され、栄養分が水面に少しづつ上昇していきます。その栄養分が水面近くまで達すると、また珪藻が大量発生します。このようなサイクルで珪藻土の殻が海底に蓄積して行くんですね。

(3)珪藻土の産地

珪藻土産地

日本の産地では、石川県の能登半島、北海道の稚内地方、秋田県、岡山県、大分県、鹿児島県などです。産地により土の質が異なり、自然調湿機能がかなり違います。産業としてかなり利用されている鉱脈は、石川県七尾市に分布する和倉層と珠洲市に分布する飯塚層のようですね。

参考サイト:https://www.isolite.co.jp/keisoudokinenkan/place.html

(4)珪藻土の歴史

珪藻土の歴史は、ごくごく最近に七輪として使われていたことはよく知られている話です。
しかし、弥生時代の遺跡から見つかった塩釜にも使われていたようで、その高い断熱性ははるか昔から知られていました。

また漆器で有名な輪島塗の下塗材としても使われています。 世界では古代ギリシャ時代には研磨剤や水に浮く土として軽量レンガに利用されたり、 トルコのイスタンブールには、6世紀に珪藻土で建築されたアヤソフィア寺院のドームが建築されています。珪藻土が今日のように工業的に利用されるきっかけとしてダイナマイトの発明もあげられるようで、アルフレッド・ノーベルが非常に不安定な液体であるニトログリセリンを安全に取扱うために珪藻土粉末を使用したことはその世界では有名なお話のようですよ。「ダイナマイト」の語源は「ダイアトマイト(珪藻土)」からきているといわれます。また、そのノーベルと同年代より液中の固形分を除去するための濾過助剤としても用いられ始めました。その後、製造方法なども改善され、現在では最も優れた濾過助剤として食品工業をはじめ多くの産業で使用されているそうです。生ビールの製法の一種として珪藻土が使われる事は良く知られます。ですが、住宅用の壁として頻繁に利用されるようになったのは、自然素材の建築が流行だした1994年頃となります。まだ住宅の壁材としての歴史は30年前後と浅いのですが昨今の日本の建材としては定着しつつありますよね。

(5)珪藻土の特徴・効果

①消臭効果:

水分が乾燥する際に木炭の約5000倍もの細かな穴が出来ます。その超多孔質が悪臭物質を吸着分解します。トイレなどの臭いが気になる空間での使用はおすすめです。

②調湿効果:

超多孔質のため調質効果が非常に高いです。湿度の高い時には余分な湿気を吸収し、逆に乾燥している時には珪藻土内にある湿気を放出します。過乾燥の際には、洗濯物やお風呂の蓋をあけっぱなしにしておくとよいですね。

③省不燃:

不燃素材のため燃えません。家の壁などに使用していれば、延焼被害を最低限にとどめることができるでしょう。素材自体から有毒ガスを出すこともありませんが、自身だけでは固まることはないため、混入している接着剤から有毒物質が揮発する可能性がありますので商品選定にはご注意を。

(6)珪藻土の使われ方

①七輪(しちりん)

七輪

珪藻土が内部の炭の熱を閉じ込め、遠赤外線の効果が最大限発揮され、水分の無い燃焼を長時間続きます。遠赤外線効果で内部から焼いてくれるので、素材のうまみを閉じ込めふっくらおいしい料理が可能となります。しかも、アルカリ性になるので素材のおいしさが酸化しないことも影響し健康面にも良いです。しかし、火をつけるのに時間がかかること、火災への配慮が必要という部分が懸念点となります。

②濾過助材

非常に優れた濾過助材として食品や飲料製品の製造産業でかなり使用されているようですね。生ビールの製法の一種として珪藻土は良く使われていますね。

参考サイト:珪藻土ドットコム

https://www.e-keisoudo.com/keisou01.html

③壁材(建材)

珪藻土

健康志向の方やオンリーワンにこだわりを持つ方々に非常に人気の素材として壁や天井に使われてきています。職人が手作業で施工するため、同じデザインを出すことができず味のあるデザインが特徴です。加えて、前項で紹介した機能的側面が健康にもいい効果を生み出すことも人気の要因です。しかし、素材自体が接着することはないため、接着剤が混入しており、接着剤効果がなくなれば剝がれてきてしまうことが大きな懸念点です。

 

2)漆喰(しっくい:stucco)

(1)漆喰とは

石灰岩

漆喰の主成分は石灰岩。その石灰岩や貝殻を窯で焼くと、「生石灰」(炭酸カルシウム)になります。これに水を加えると、発熱膨張して「消石灰」(水酸化カルシウム)に化学変化します。この消石灰に、ぎんなん草などを加えたのものが漆喰です。漆喰に水を加えて壁に塗りつけると、乾燥して空気中の二酸化炭素と化学反応し、再び元の石灰岩と同じ成分の炭酸カルシウムに戻っていくのです。これは中学校の化学の授業で習う「酸化と還元の法則」です。つまり、漆喰の壁=石灰岩です。いわば、カルシウムに固まれて暮らしているようなものですから、安全性は抜群です。

参考資料:無添加住宅

https://www.mutenkahouse.co.jp/products/plaster

(2)漆喰のでき方

漆喰生産サイクル

①石灰山から石灰を切り出し石灰精製工場まで運びます。

②石灰石を加工しやすいように細かく粉砕します。

③石灰石(CaCO3)を1000度で加熱し、生石灰(CaO)にします。

④生石灰(CaO)に水を加え消化すると、消石灰(Ca(OH)2)になります。

⑤消石灰に保水材として海藻のりを加えます。

⑥さらに繊維状のスサを加えることで、ひび割れを防止することができます。

⑦各素材を混ぜ、漆喰が完成します。※漆喰は各メーカーにより混入物が異なります。

漆喰製品

⑧建築物の内外装に塗る場合は、粉末状の漆喰に水や油を加え練り合わせます。

⑨練った漆喰を左官屋の手で鏝(͡コテ)で漆喰を塗り仕上げていきます。

漆喰内装

⑩施工後は空気中の二酸化炭素(CO2)を吸収し、もとの石灰石に戻っていきます。

 

(3)漆喰の産地

石灰石は主に方解石(炭酸カルシウム)という鉱物からできている岩石で、これを鉱業資源として取り扱う場合に「石灰石」と呼びます。 石灰石は長い歳月をかけて海中の珊瑚や海洋生物が堆積して地層化したものです。 また、全国に200以上ある鉱山から生産される石灰石は、年間約1億4000万トンになります。 石灰石の主な採掘場所は、栃木県「野州灰」、岐阜県「美濃灰」、滋賀県「近江灰」、高知県「土佐灰」、大分県「津久見灰」などから採掘されています。 特に、高知県「土佐灰」は、白度が高く耐久性のある石灰岩として有名です。

(4)漆喰の歴史

漆喰の歴史はとても古く、世界中で使われてきました。今から5千年前のエジプトのピラミッドの壁に使われたのが漆喰の起源のようです。古代ギリシャやローマ時代の建築物にも使われていたことはアクロポリスの神殿やポンペイの遺跡からも判明しています。これらの文明では、漆喰は絵の具を石灰に染み込ませて壁を装飾する手法が使われたようです。これが後に、イタリアルネッサンス時代のフレスコ画として確立されました。一方、アジアでは中国の万里の長城にモルタル、つまり煉瓦をつなぐ接着剤として漆喰が使われていたようです。日本では、戦国時代に城郭(じょうかく)建築のため石灰と海草糊を混ぜて使う独自の漆喰工法が確立されました。漆喰が城に使われたのはその優れた防火性と耐久性のためです。これらの長所を生かして、江戸時代には裕福な商人屋敷の土蔵や神社仏閣に使われるようになりました。

(5)漆喰の効果・特徴

①調質性能 結露を抑制! 

漆喰は、微細な多孔質の素材であるため、優れた吸湿・放湿性があります。空間の湿度を適度に調節することで結露を防止し、建物の耐久性を維持します。また、湿度の高い夏は湿気を吸い込み、乾燥した冬には湿気を放出し、居心地の良い室内環境をつくります。(性能の限界を超えた、過度の加湿・暖房は結露を起こす可能性がございます。)

②吸着性能 化学物質を吸着分解! 

シックハウス症候群の原因といわれる揮発性有機化合物(トルエン、キシレン等)を吸着し分解します。

③抗菌性能 カビ・ダニを抑制! 

漆喰は強アルカリ性のため、有機物を分解する殺菌機能があります。主成分の消石灰の作用により、細菌の生育・増殖を抑え、カビやダニの発生を防止します。近年、鳥インフルエンザの際に、殺菌のためにまかれたのも漆喰と同じ石灰です。

④耐火性能 火に強い! 

建築基準法第2条第9号基準に適合。ほとんど無機の不燃性の素材で構成された防火材です。化学建材のようにダイオキシンなどの有害ガスが発生することもありません。昔の城や蔵が漆喰で塗られていたのも、漆喰が火に強いからなのです。

⑤省エネ性能 電力を16%削減! 

無添加住宅の「オリジナル漆喰」が、夏季冷房におけるエアコンの消費電力量を削減する「省エネ性能」を合わせ持つことを、実建物を使った測定実験で検証し、結果一般的なビニールクロス内装仕様の居室より、オリジナル漆喰内装仕様の居室が約16%の省エネ効果があることが実証されました。

また、施工時に大量の水を使うオリジナル漆喰は、ゆっくり乾いていく間に、純枠な炭酸カルシウムが結晶(方解石)化します。それを利用し、漆喰面に光が反射するように高窓や照明器具を配置すれば、照明器具の明るさを控えめにすることや照明器具を削減することで省エネにつながります。

⑥省エネ性能 電力を16%削減 

オリジナルしっくいの優れた調湿作用が、室内の温度変化を緩和。

無添加住宅の「オリジナル漆喰」が、下記冷房におけるエアコンの消費電力量を削減する「省エネ性能」を合わせ持つことを、実建物を使った測定実験で検証し、結果一般的なビニールクロス内装仕様の居室が約16%の省エネ効果があることが実証されました。

⑦安全性能 高い安全性!

漆喰はビニールクロスや合板と違い化学接着剤を必要とせず、それ自身が空気中の二酸化炭素と化学反応を起こして固まりますので、シックハウス症候群の原因の一つである揮発性有機化合物を放出することはありません。また、固まった漆喰の成分は炭酸カルシウムなので人にとって最も親和性のある、食べられるくらい安全な物質と言えます。

⑧メンテナンス性能 お手入れ簡単! 

ちょっとした汚れは消しゴムで落とすか、カッターナイフで削って消します。ビニールクロスなどは、はじめはきれいですが、汚れるとお手入れをしたところで新しく貼り替えない限り、みじめさは拭いきれません。

⑨ウィルス不活性能 エンベロープウィルスを不活化

 

他にも、漆喰の特徴と効果はまだまだたくさんあります。建材としては機能性が高く、メンテンナンスも非常に簡単で長持ちするため住宅の壁材に使用する方々が非常に増えてきています。そのきっかけになったのは、コロナ禍でウィルスが猛威を振るってその影響が甚大であったことが背景にあります。詳細を知りたい方は、資料を無償でご提供いたしますので、下記より資料請求してください。

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(6)漆喰の使われ方

石灰は家作りの建材以外にも、私たちの身近な日常生活にも多く使われています。 例えば、グランドに白線を引くラインパウダーや農業用の土壌の改良、黒板に使うチョーク、こんにゃくの凝固剤など、教育・農業・食品分野にまで幅広く使われています。 このように、石灰は暮らしの中で欠かせない基礎素材なのです。

 

3)珪藻土と漆喰の違い

上記のように産地や見た目、性能は非常に似ておりますが、珪藻土は接着剤がないと固まらないですが、漆喰は自らの性質で二酸化炭素と反応して固まります。そのため、接着剤の接着効果がなくなれば素材がボロボロになってしまうことが大きな違いです。結果、15年~20年持つ珪藻土に対し、漆喰は半永久的に長持ちするという大きな違いがあります。

また、いらなくなった漆喰は畑などに撒けば、土壌がアルカリ性になって農作物にも有効ですので、再利用できる素材としても重宝されています。昨今のSDGsの考え方に即しています。

 

4)まとめ

本日は、珪藻土と漆喰の違いについてお話いたしましたが、それぞれ非常に似ている素材でありながら、長持ちするという視点では大きな違いがあることがわかりました。

住宅内で施工する場合でも金額的な差はほとんどありません。どちらを選ぶかは皆様ご自身ですが、メンテナンスが容易で長持ちするのであれば越したことはないと思いますので、私個人としては漆喰をお勧めいたします。

この記事を書いた人

株式会社ビリーフハウス

広報担当:花島