最近、各地域でお米の収穫を行っている情景を見かけることが多くなってきました。
季節はまだまだ暑いですが、各地での様々な農作物の収穫の時期となり、食も非常に楽しい季節になってきています。夏の日照りによる水不足や台風などの災害から逃れ、収穫のこの時期に至っていることを考えると非常に感慨深いものがありますね。
今日は、そんな収穫時期であるお米にまつわる内容として、今現在でも使われている『米のり』についてお話したいと思います。
目次
1)天然の接着剤の歴史
2)主な接着剤の分類
3)米のりの特徴
4)『米のり集成材』ができるまで
5)一般の接着剤と米のり接着剤の違い
6)まとめ
1)天然の接着剤の歴史
接着剤の歴史は古く、記録としては紀元前14~15世紀にエジプトで膠(にかわ)を使って合板を製造したことが最古といわれています。日本では漆(うるし)、動物の皮や骨などを原料とした膠(にかわ)、米などを原料とするでんぷんのりなどが、奈良時代の頃からドアや家具などを主に利用されてきました。その後明治の文明開化までは新しい接着剤が外国から紹介されることもなく、これらの伝統的な接着剤が生活の中に広く浸透してきました。
2)主な接着剤の分類
接着剤は、主に無機物から構成される無機系接着剤と有機物から構成される有機系接着剤に大別されます。
無機系接着剤無機物から構成される接着剤で、モルタルやケイ酸ソーダ、セラミックなどの種類があります。
一方の有機系接着剤は、有機物から構成される接着剤で、デンプン系やたんぱく質、天然ゴム系の接着剤、合成樹脂系接着剤などがあります。接着剤は私たちの様々な場面で携わっています。『米のり』は、この有機系の中の天然系のでんぷん系に分類されます
3)米のりの特徴
お米は熱によってα化(高分子化)し、固まるとセルロース(化学式:C₆H₁₀O₅)、つまり木と同じようなものに変化します。
木と木を接着する際、気温や湿度によって多少木が膨張したり、収縮したとしても米のり自体が木と一体化しているので、剥がれにくいという特長があります。
ですが、弱みとしては水に弱く、米のりが剝がれてしまいます。
そのため、室内で使用する木材にお勧めの接着剤となります。
障子で使用するのりもでんぷん糊や米のりを使用していたことと思います。
これはまさにお米の特徴を生かしてうまく貼れていたということになりますね。
4)『米のり集成材』ができるまで
①練った米のりに熱を加えながら混ぜる
②木をフィンガージョイントに形どり、米のりを付けて木材同士をくっつける
③さらに木材をくっつけるため、ローラーで米のりを木材に均一に塗布する
④塗布した米のりの木材をプレス機で貼り合わせ、一日乾燥させる
⑤くっついた木材の表面を磨き、面材として出荷
5)一般の接着剤と米のり接着剤の違い
一般の接着剤は、有機化合物であり石油由来の添加物をたくさん入れて作っていることが多い。
※レゾルシノール(CAS 番号:108-46-3):C₆H₆O₂
参考サイト https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%BE%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%AB
しかしながら、米のりはお米のでんぷん質が熱のアルファ化することでくっつく力が増し、木とこのでんぷん質が実は同じ化学式であり、くっつけるというよりは一体化するという考えのため接着力が強いようです。
※木(セルロース(CAS登録番号:9004-34-6 (結晶)):C₆H₁₀O₅ ー でんぷん質:C₆H₁₀O₅
参考サイト https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%AB%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%B9
6)まとめ
お米の接着剤である『米のり』は、有機系のでんぷん質の糊であり、木と化学式が同じであるため接着効果が非常に高い。
木と一体化するため、接着期間も非常に長く、石油由来の揮発性物質もなく健康にも安心・安全。
ただし、水には弱いため使用する場所は選ばないといけない。
家の中のドアや家具などには合板で作られたものだと石油由来のトルエンやキシレン、また新たな指針値物質候補の2-エチルー1‐ヘキサノールなども検出する可能性があるため、米のりで作ったドアや家具などのご使用をお勧めいたします。
米のり集成材などを使った家づくりや、ドア・フローリング・家具などにご興味をお持ちの方は、下記urlよりお問い合わせください。
この記事を書いた人
株式会社ビリーフハウス 広報 花島